21世紀に入ってIAS ・IFRS がグローバル・スタンダードとして脚光を浴び、会計基準の「国際的調和化」(in­ternational harmonisation)から会計基準の「国際的収斂」(in­ternational convergence)あるいは「IFRSの全面導入」(adoption of IFRS)に移行し、わが国においても、企業会計基準委員会(ASBJ)によってIAS ・IFRS に収斂した「企業会計基準」 が作成・公表されています。そのためか、わが国では「国際会計」の研究領域をIAS ・IFRSに限定して、IAS ・IFRSの解説・実務対応的研究をもって「国際会計研究」であると解する傾向が強くなっています。

本来的には、「国際会計研究」は、多国籍企業会計論、比較会計制度論および会計基準国際調和化論(現在では、会計基準国際収斂論)から構成されております。IAS ・IFRS研究は、あくまでも「国際会計研究」(国際財務会計)の一領域に過ぎません。「比較会計制度論」から派生した「会計基準国際調和化論」(「会計基準国際収斂論」)によって、各国会計制度の沿革・会計処理基準・開示基準の特質等を比較・分析することにより各国間の制度的共通点・相違点を明らかにする「比較会計制度論」、及び多国籍企業が遭遇する会計処理問題(たとえば、外貨換算会計、国際財務報告、国際管理会計、国際税務会計)を解決する「多国籍企業会計論」の研究は徐々に後退しています。本学会の「設立趣旨書」で警告していますように、このような傾向は、将来における「国際会計研究」にとって危機的な状況に陥っていると言っても過言ではありません。

「グローバル会計学会」は、国際財務会計・国際企業報告、国際管理会計、国際税務会計、国際会計監査などを広く包含する「国際会計」を深耕する「グローバル会計」を構築・展開する学会として2018年3月に設立されました。

本学会は、法制度やビジネス慣行など、広く各国のローカル文化的特性にも強い影響を受け、「グローバリゼーション=統一化」と「ローカリゼーション=多様化」との文化概念的対峙に関して、両者の最適共存関係のもとで新たなグローバルかつローカルな会計文化の創造を目指ざす学会であり、グローバル会計に関する多種・多様な課題を解決するための学会として活動しております。

国際会計あるいはグローバル会計に精通した研究者により構成されている本学会における高度・広範な研究報告、それに対する濃密な討論および機関紙の発行等を通じて、グローバル会計の発展・向上に貢献できるものと確信しています。

2022年4月

グローバル会計学会会長 菊谷正人